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ベリアルのプレゼント《12》

ベリアル様の指が、頭から背筋へと滑る。 そして、また胸やお腹と柔らかくて皮膚の薄い場所をするすると撫でていく。 その度にゾワゾワと肌が粟立つのを感じる。 ベリアル様に出会うまで、知らなかった感覚だ。 それなのに、自分の身体はそれにもう慣れようとしている。 「ルノア…」 耳元で私囁かれれば、ゾクリと電流が耳から足元へと駆け降りる。 「べ、ベリアル…さま…」 返事の様に返した名前は、酷く掠れていた。 ベリアル様の手が、私の身体を撫でる。 そうすれば、まるで全身が歓喜している様に戦慄いた。 「ベリアル…さ…ま…ぁっ…!」 首筋にベリアル様の唇が吸いつき、徐々に激しい愛撫へと変わる。 ベリアル様が触れた所から、ぐずぐずに溶けてしまいそうだった。 (熱い…) 身体も、魂も、自分を構成する全てのものが、まるで燃える様に熱い。 日々引き出されていく未知の感覚は凄く恐ろしいのに、それでも消えない多幸感に、このまま燃え尽きても構わないとさえ思う。 「ルノア、私の可愛い小鳥…」 耳元で囁かれれば、耳朶が焼ける。 そして、それが燃え広がり、体中に火がついた様な熱に魘される。 最初の頃とはまるで違う。 壊れても構わない玩具を扱う様に乱暴だった美しいベリアル様の手が、今はまるで壊れやすい硝子細工でも愛でる様に触れていく。 それなのに、身体は今の方が燃える様な熱に翻弄されていた。

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