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ベリアルのプレゼント《14》

いつの間にか気を失っていた。 ふと目覚めれば、いつから見ていたのか、ベリアル様の視線とぶつかる。 恥ずかしさに布団を目下まで引き上げれば、ベリアル様が優しく笑う。 「そう隠してしまっては、貴方の可愛い顔が見えないでしょう」 「は、恥ずかしくて…、す、すみません…」 咎める声は笑いを含んでいて、からかわれていると分かっていても、やっぱり恥ずかしい。 私は熱くなっていく顔を少しでも多く隠そうと、更に布団を引き上げた。 最近では目覚めると、ベリアル様が私の顔を覗き込んでいる事がよくある。 目覚めから、お美しいベリアル様の姿をこの目に映す事ができて幸せだけれど、自分の寝姿を見られるのは恥ずかしい。 変な顔で寝ていて、ベリアル様に呆れられたらどうしようかと不安になるのだ。 それでも、ベリアル様が優しく見つめて下さるお顔が大好きなのだけれど…。 「あの、ベリアル様…」 「何だ?」 「私の事を気にかけて下さってありがとうございます」 そうやって、私の事を見つめていてくれたから、私が寂しく思っている事に気づいてくれたのだ。 改めて御礼を伝えれば、ベリアル様がとぼけた様に肩を竦めてみせる。 もしかしたら照れているのかもしれない。 その表情からは、本当のベリアル様の感情は分からなかったけれど…。

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