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突然の来訪者《7》
「ラルドとか言ったな」
「はっ、はいっ!」
返事をしたラルドさんのお顔は青ざめ、身体は小刻みに震えていた。
きっと、本当は恐いのに、私の為に勇気を振り絞って言ってくれたんだ。
申し訳ない気持ちと、有難い気持ちとで、胸がいっぱいになる。
「ルノアを無理矢理連れ出すつもりは無い」
「ば、バルト様…」
バルトさんの言葉に、私もラルドさんもホッと胸を撫で下ろした。
だが、それも束の間。
「ルノアが俺を好きになれば、ベリアルを好きなどと言う事が間違いだったと、ルノアも気づくはずだ!そして、ルノアは俺を好きになると決まっている!」
そう言い切ったバルトさんに、ラルドさんは更に青ざめ、私は途方に暮れた。
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