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突然の来訪者《11》
抱き抱えられたまま、ベリアル様の御部屋に向かう。
その間、ベリアル様は終始無言だった。
それが、更に恐怖を掻き立てる。
ベリアル様の御部屋に着くとベットの上に下ろされ、不安になりながらベリアル様を見上げた。
「べ、ベリアル様…?」
不機嫌そうなベリアル様に、更に不安になる。
暫らくの沈黙の後、ベリアル様がようやく口を開いた。
「あの馬鹿息子に何を言われた?」
「…あ、あの…?」
「何を言われたか、聞いている…!」
静かだけれど強い口調に、ビクリと身体が震える。
「そ、その…、わ、私の事を、好いて下さっていると、そう言われました…」
「それから?」
「わ、私に、お嫁さんになれと…」
「ふんっ」
さも、馬鹿馬鹿しいという様に、ベリアル様が鼻で笑う。
けれど、お顔は全然笑っていなくて、私は益々縮こまる。
「私は、あんなガキにコケにされるのは我慢なりません」
「は、はい、す、すみません…!」
きっと、ベリアル様の所有物である自分がちょっかいを出された事で、ベリアル様のプライドを傷つけてしまったのかもしれないと、慌てて頭を下げた。
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