14 / 90

第14話

あんなことをしても、学校では極力いつもと同じように過ごす。 触りたいしくっつきたいが周りの目があるため俺は慎重に行動した。 自分以外の誰かの事を考える日がくるなんて…オレもヤキが回ったのかな。 …人間味が出てきた、とでもいうのだろうか…。 東儀は…いつも通りだ。 いつものように見える。 俺は…気づけば目で東儀を追っている。 …恋する乙女のように…ああ、キモい…。 ヤツは俺のことをどう思ってるんだろう? 「ちょっといい?」 昼休みに東儀を図書室に呼び出した。 ここならよく来るから誰に見られても変に思われないはず。 「都丸、こんな所で何の用?」 最奥の棚の間で二人きりになった。 「東儀って…俺のことどう思ってんの?」 「え…」 聞かれると思っていなかったのか、よほどびっくりしたのか…東儀の目が点になった。 数秒固まり…目が宙を泳いだ後、東儀は後ろの棚にしがみついた。 耳も首も真っ赤にして。 「ね、どう?」 黙る東儀に近寄って肩を抱いた。 「ひっ!」 びくんと体を大きく跳ねさせ、はあ、とため息を落とす。 「それって言わなきゃダメ?」 振り向きざま上目遣いにそう言った。 …神よ…理性が試されてるのでしょうか? だらしなく緩む頬を無理くり引き締めて 「言わなきゃダメなやつ」 と笑顔で壁ドンならぬ棚ドンした。

ともだちにシェアしよう!