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第21話

知らない天井を見て、ああ、そうか、と思い出した。 横で眠る東儀は、まだ夢の中の住人だ。 髪を指で弄び寝息をたてる唇をするりと撫でた。 「…んっ…ふうっ…」 うっすらと目が開くが…。 眠りが浅いのか夕べの熱がまだ残っているのか…僅に眉間に皺を寄せ甘い吐息を溢し、東儀はまた眠りに落ちていった。 俺はその存在を確かめ、また、眠りについた。 俺は昼頃起き上がり、一人でコンビニに行きおにぎりやサンドイッチを買い込んできた。 戻ってくると、ようやく東儀が起き出してきた。 「悪かった、やり過ぎた…」 「あー、うん、大丈夫…」 下を向いてもじもじしている白い体のあちらこちらに昨日の余韻が刻まれている。 意識はしていなかったが…こんなに付けたのかと自分自身に引いた。 「何が食べたいか分からなかったからいろいろ買ってきたけど…」 「あ、高菜のおにぎりがある。あとフルーツサンド!」 渋いのか可愛いのか…そもそもその組み合わせはどうなのか? 「都丸…食べたかった?」 右手に高菜、左手にフルーツサンド。 何だよ可愛いな。 「東儀が…食べなよ」 そう答えながら、俺は見上げるように視線を向けてくる東儀の姿にドキリとして、ああ俺は人に対して好意を抱くことが出来るんだな、と思った。 ノロノロ動く様子から、東儀の体が辛いのは想像に難くない。 日中は宿題をしたり、テレビを見たりして過ごした。 夕方になり東儀の体調が落ち着くと、夕飯の材料を買いに二人で近くのスーパーへ行った。 アウェー感、半端ない…。 「カレーなら作れる」 「ホントに?」 真顔で確認されるとは…。 「…多分…。小学校の調理実習では出来た」 東儀は、あははと俺の言葉を笑い飛ばして 「一緒に作ろう」 と言って俺の腕を取った。

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