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第26話
クーラーの効いた部屋の中、後ろからシャツの中に手を伸ばして触る背中はしっとりと汗ばんでいた。
肩甲骨を手のひらで撫でながら喉元に吸い付く。
んんっ、という声がして背中から服を握られた。
だが指先に力が込められ、服に無数の皺を刻んだだけだった。
「…都丸…俺だって、会いたかった…」
「…ん…」
何だろう、このやり取り。
まるで……のような…。
·····?
「東儀…俺達って…何?」
「…何って…」
抱きついていた体を離すと、まじまじと顔を見られた。
「友達…よりは…」
喋る俺から東儀は目を逸らさない…。
「こ…恋人?かな?」
言ってる自分に照れる。
その瞬間、東儀に勢いよく抱きつかれ、二人でベッドに倒れ込んだ。
「ちょっと苦しいよ」
そう言っても東儀は力を緩めない。
無理やり姿勢を変え、耳朶をべろっと舐めると、あっと言ってこっちを向いた。
「…いいの…?俺で…。誰かの恋人なんて…なっていいのかな…」
「俺達がいいんだから…いいんだよ」
「…ありがとう…せ…誠司……」
俯いて、最後の方は殆ど聞こえない位小さな声でそう言った。
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