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第31話
文化祭当日、着替えやらメイクやらで裏方はごった返していた。
文学青年と執事はセルフで準備をするがセーラーとメイドは化粧もしなければならないので手伝いがつく。
俺は着替えの手伝い位しようと東儀のブースに入ろうとしたのだが…断固として拒否られた。
何故?
納得出来ないながらも仕方なく、裏でカップやケーキの準備をした。
「都丸~数が足りない~」
「奥の箱の中にあるだろ」
よく見ろよ。
「あった~」
世話が焼ける。
評判がいいようで休む間もなく客が入る。
教室三分の二程を喫茶店風に飾って仕切りを立て、残りの場所で給仕の準備をする。
今のところ大きな問題はなく、メイド達が注文を聞いてメモを取っていた。
東儀といえば堅かった表情も和らぎテキパキと働いている。
貴重なウエイトレス姿を盗み見ていると、柄の悪そうな二人組が入ってきた。
一人は四十代でもう一人は二十代そこそこ位だろうか。
嫌だな、と思いつつ注文のケーキとコーヒーを運んでいたらその二人組は東儀に絡み始めた。
「やけに可愛いなぁ」
「うわぁ本当だ」
東儀は顔色一つ変えずに二人に向き合っている。
俺は東儀と奴らの間に割って入った。
「他のお客様の迷惑になりますので…」
言いかけて、東儀の腕が俺を脇にぐいっと押した。
「こちらにどうぞ、隆さん。お客だったらもっと上品に入ってきて下さいよ」
あれ?知り合い?
「悪い悪い、ついセーラーに興奮して」
隆と呼ばれた四十代位の男は椅子に座るや、にやり顔で一心を見上げた。
「いっちゃん、よく似合ってるよ」
二十代位、チンピラ風に見える男はやけに機嫌がいい。
「黙ってここに座ってて。コーヒーとケーキでいいですよね」
東儀は表情を変えないままで、一方的に注文を取って裏へ入っていった。
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