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第32話

…知り合いだったのか…。 とはいえ随分ガラの悪…個性的な感じだな。 盗み見るように監視したが後は大人しいものでコーヒーとケーキをたいらげ、すんなりと出ていった。 開店直後からクラスの店は繁盛して忙しかったが午後からは俺と一心は揃って休憩に入った。 宣伝も兼ねてコスプレのまま出掛けてこいという威圧的な雰囲気を忖度し、衣装はそのままで出掛けたが…これについてはちょっとした御褒美だと思った。 一心は最初だけ嫌そうな表情をしていたが、それでも店の宣伝なのだからとちらしまで用意していた。 二人で他のクラスの出し物を見て、定番のたこ焼きと焼きそばを買った。 「見て回るのも楽しいけど疲れるね」 そりゃそうだ。 女装していれば気疲れするだろう。 「買ったもの食べて休憩しよう」 休憩スペースに向かい合って座り俺はたこ焼きを食べた。 「美味しそう」 「食べる?」 「うん」 そう言って口をあ~んと……開けるのか……。 ·····可愛いな、チクショウ…。 しょうがない。 爪楊枝で刺して口に持っていく。 「熱いから気を付けろよ」 「はふっ…あっふいっ…」 はふはふ食べる姿が…エロい…? …何だ、このエロ可愛い生き物は? 「んー、美味しい。あ、焼きそば食べる?あ〜ん…」 今度は一心が箸で焼きそばをすくいあげ、俺の口元に…。 周囲の好奇な視線が痛い。 が、この場は乗っかっておく。 一心の口があ~んの形になっている… 「あ~、んまいな」 イチャイチャを見せつけるように食べた。 ま、一心は全然気づいてないけれど。 「あ、俺お茶買ってくるよ」 「了解」 粉ものに水分を取られ、喉が渇いた。 美女の隣でドキドキしてるのもあるのかな? ハハハ…。 お茶を買って戻ってくると一心のいる辺りが騒がしい。 「ちょっとだけ、ね、つきあってよ~」 大学生と思われるチャラ男かぁ。 一心は無視を決め込んでいる。 「向こうに行こうぜ」 ぐい、と無理に腕を取った… あ、ヤバい… 二人の間に割って入ろうと… 「触るな」 相手の手を払い、睨み付ける目… 一心の姿にゾクッとした。

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