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第34話
生徒や来客をかき分けて体育館裏へ急いだ。
心配するような事は無いと思いつつ、多勢に無勢では万が一ということもあり得る。
「あ、すみません…」
人が増える時間帯、焦って肩がぶつかる。
…落ち着け…。
裏手に回ってみると悪い予感は的中し、東儀の前に男達がいた。
俺と東儀の間に二人の男。
·····俺は間に合ったのか?
東儀と目があった。
今、加勢する…ん…?
手を上げて…振ってる…?
東儀の前にいた男達がこちらを向いた。
あれは…東儀が接客したガラの悪い男達。
訳がわからん。
「言いがかりつけられちゃって…」
東儀がにこやかに歩いてくる。
その足下には…三人の男…。
「コレ、一人で?」
「いや、俺が倒したのは一人だけ」
立っていた男達もこちらにやって来た。
「俺らが手を出さなくても片付くとは思ったんだけど」
「…隆さんが楽しそうだったから、つい」
…二人には聞いてないよ。
黙っていたら東儀が説明を始めた。
「隆さん達目立つから注意しに行こうとしたんだ。そうしたら三人に囲まれちゃって。で、他の人の迷惑にならないようにここまで逃げてきたら手を出してきて…正当防衛だよね?」
俺に拳を突き出す仕草をする。
「あー、うん…」
「隆さん達は走る俺をたまたま見つけて追いかけてきただけなんだ」
地面に転がる男達を指差した。
「…で、アレね」
「…あはは…そう」
何事もなくて良かったのか、何かあったけど大丈夫だったのか…。
答えは…謎だ…。
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