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第35話

「…で、隆さん」 隆と呼ばれた男は目付きが鋭く、短髪やせ形で暗い色のシャツを着ていた。 「…目立つから長居しないでね」 「可愛い~ 一心のコスプレも見たし…引き上げるかな、慎」 「え〜もう少し見て回りましょうよ〜」 …可愛い…。 面と向かって言いやがったよ。 しかも言い慣れてやがる。 「いっちゃん、この人は?」 若い男が俺の存在を聞いてきた。 こっちは 金髪にカチューシャなんぞ付けてチャラ男にしか見えない。 「慎ちゃん!こ…この人は…クラスメイトの…」 「都丸誠司です」 「あぁ、この人いっ…んぐっ」 「ちょっと…!」 慌てて慎ちゃんと呼んだ男の口を塞ぐ東儀…お前、そんなキャラだった? 「な…何でもないからね、さ、帰って帰って」 慎ちゃんと呼ばれた男はずっとニヤニヤしていたが…もう会うこともあるまい。 俺は二人を校門まで見送る東儀について行った。 「戻らないと。そろそろ交代時間だろ」 急かしてるんじゃない、事実だ。 決して嫉妬とか、そういうんじゃ、ない。 「うん、じゃあね隆さん、慎ちゃん」 「…いい顔するようになったな、一心」 「東儀、時間」 …ヤキモチでは、ない、うん。 「また、家の方に来て」 見送る笑顔に軽くムカついた。 なーにが“来てね”だ。 廊下をドスドスと急ぎ足で歩く。 ニコニコといつまでも見送っちゃって。 「誠司、疲れた?」 一心の…こっちをチラ見する仕草。 ·····止めて…大人気ないの、反省するから。 でももう…限界。 「疲れたから…」 戻る途中、空き教室に東儀を引き込んだ。 「…一心を充電させて」 鍵を掛け壁に押し付けて両腕で閉じ込める。 東儀は俺にされるがままで…顎を掬って唇を近づけると…俺の頬に両手を添えてちゅっと唇を触れさせた。 「ゴメン、妬いちゃった?」 …うん、妬いちゃった…なんて絶対に言わない。 「…ん?何で?」 強がってみたが、ポンポンと背中を叩かれてしまった…。 「…いっしん…」 体を近づけキスを…ぐぐぅ。 今そうゆう雰囲気だったはず。 なのに、手のひらを顔に押し付けるの止めてくれ。 「ココ、学校。これ以上は…ね」 拒否られた。

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