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第44話

「都丸、もう大丈夫なの?」 桜井がマスク姿の俺の姿を見つけて心配そうに駆け寄ってきた。 マスクをしているのは周囲への配慮だ。 「…まぁ、…うん」 慣れないマスク越しで話しにくい。 「ワクチン打ってなかったから…重症だったよね」 東儀がクスクス笑っている…クソッ。 「それにしても都丸が一週間も休むなんて…東儀と驚いたよ」 「そうそう」 「俺、出席停止だし」 「ハイハイ」 東儀と桜井の様子を見て、一瞬イラッとした。 俺はインフルエンザで病院に三日間入院し、その後は自宅療養をして、結果一週間学校を欠席した。 文化祭直前のため勉強に遅れが出ることはなかったが、一週間の欠席は俺を悩ませるのに十分な時間だった。 「東儀、当日の分担はどうなってる?」 「メンバー表は出来てるけど…最終確認は桜井だろ?」 微妙な疎外感…。 大元の資料は俺が作成したのに…まるで俺がいなくてもいいような雰囲気…。 つまりは…居心地が悪い…。 「…つまんねー…」 ぼそっと声が出てしまっても、誰も俺の声なんて聞いてない。 教室ってこんな所だった? 久しぶりに登校してこんな気持ちになるなんて。 病み上がりのせいなのか…? そもそも、俺はこんな事を気にするような奴じゃなかった…。 そうだろ?

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