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第46話
「早く家に帰って休んだほうがいいよ」
駅で東儀にそう言われ、仕方なくまっすぐ家に帰った。
真面目でお堅い東儀らしい。
玄関まで東儀は見届けるつもりだったようだが、俺は断った。
本当はもっと一緒にいたかった。
…でも、言えなかった。
門扉を閉めた時に、まるで東儀との世界が隔離されたかのように、ガシャンと音がした。
この世界で俺は一人。
庭に植えてある金木犀はちょうど花を着け香りを漂わせている。
花の匂いには人は引き寄せる魅力があるが…俺にはそんな力はない。
項垂れて黙って二階に上がる。
自分の部屋でスウェットに着替え体温計を脇に挟んだ。
ピピっと電子音が鳴る。
「熱は…七度五分」
この程度でふらつくなんて…弱すぎ。
勉強をする気力もない、こんな時は…
…寝てしまえ…。
布団を被って目を閉じた。
教室で東儀と桜井が楽しそうに話していた。
俺は少し離れてそれを見ていた。
近くて遠い。
この気持ちを何と言うのだろう。
他人に好意を持つことも、他人の行動が気になることもなかった自分。
どうすればいいのだろう。
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