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第49話
「東儀!」
振り向く東儀より早く、誰かが俺の視界から東儀を隠す、が…
「…ぁ、クラスの子かぁ」
ゴメンゴメンと謝ってその人は東儀の隣にそそくさと移動した。
この顔、見覚えがある。
「去年も来てましたよね」
確か…“隆さん”と“慎ちゃん”って呼ばれていた人。
「いっちゃんのコスプレ見に来たんだよ。かーわいー」
そう言って“ 慎ちゃん” はもふもふの尻尾をぐるぐる回しだした。
「都丸、もう戻るよ。サボってゴメン」
「おう…」
曖昧な返事をしたのは“ 隆さん“ が厳しい顔をしている事に気づいたから。
「じゃあ、行くね」
「いっくん、頑張って!」
にこやかに見送る“ 慎ちゃん“ (名前知らない)と黙って見ている“ 隆さん“ 。
なんだろう、変な感じがする。
「東儀、尻尾触らせてるんじゃねぇよ。」
「減るようなものでもないし」
今度は俺が尻尾をぐるぐると回した。
「何?」
テーブルの向かいでパカッと口を開ける東儀…レア…。
視線が一瞬下を向き、察する。
「ああ、ほら」
俺の焼きそばをひとすくい、割り箸で東儀の口に突っ込んだ。
「ん~ふまい」
「チープな焼きそばって旨いよな」
肉なんかろくすっぽ入ってなくて、キャベツだって人参だって欠片しかは入ってないのに。
「…じゃなくて…」
「都丸、あ~ん」
「あ〜…ふぐっ…あふっ…」
熱々のタコ焼き…軽く拷問…。
「ほとんど小麦粉とソースだけど…旨いな」
「でしょ?」
東儀と俺は遅い昼食を食堂で食べていた。
「なぁ」
「ん?」
タコ焼きを食べる東儀はいつもと変わらないように見える。
「隆さん…だっけ?今日は機嫌悪い感じ?」
東儀の眉が若干八の字になった。
「わかっちゃった?」
こくんと頷いてみせると少し間を置いて、東儀が顔を寄せてきた。
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