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第60話

「いい天気」 高校を卒業して、俺と一心はそのまま付属大学に進学した。 俺は経済学部、一心は医学部。 大学のキャンパスは広い敷地に文系、理系、医療系学部の三つに別れている。 歩道、車道、自転車専用通路が整備されているので学内の移動は人それぞれ。 文系の講義棟から医療系の講義棟は一番距離が離れていて俺は校内を自転車で移動していた。 入学して既に一ヶ月、通い慣れた道を自転車で快適に進む。 入学して二年間は一般教養科目の履修なので講義がそれほどハードではない。 毎日ほぼ定時で終わる講義が終了すると俺が一心を迎えに行き、そのまま一緒に帰宅する。 俺は実家を出て、一心と同棲…と言えば聞こえはいいが…一心の家に住み着いた。 三年になれば一心は勉強が忙しくなり俺と会う為に時間を作るのも大変になる事を見越しての同棲だった。 「着いたっと」 駐輪場の空きスペースを探しながら歩くと肩を叩かれた。 「痛」 「今日も早いな」 笑顔で俺の肩に軽くパンチをいれたこの男は佐久間だった。 佐久間は医療系、臨床を専攻していている。 一般教養課程のうちは医療系は学部に囚われずに共通講義がまとめて行われるのでその時に一心と仲良くなったようだ。 「スポーツは得意なんで」 「東儀から伝言。食堂で待ってて欲しいってさ」 「了解、ありがとう」 俺は駐輪場に自転車を突っ込んで、食堂へと急いだ。

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