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第62話
「お疲れ、どうしたの?」
東儀は黙っている俺の事を不思議そうに見ている。
「こんにちは、都丸くん」
誰?この男?
爽やかなイケメン…。
東儀より少し背が高くて、でも筋肉ゴリラでもない。
座ったままでジロリと睨みつけた。
「最近よく一緒に講義受けたり実習したりしてる下遠くんだよ」
ああ、こいつが下遠か。
「どうも、都丸です」
「そんなに怖い顔しなくても…俺、そんなつもりないから」
声すら苛立つ。
「は?」
そんなって、どんなよ?
「都丸顔怖いよ…大丈夫だから。ねぇ、下遠くん」
ねぇ、って言いながら見つめ合うなよ!
「俺は…佐久間が…その…気になってるんで…」
「佐久間…」
…そっちか。
な〜んだ。
「早く言えよ」
俺は立ち上がり、良く知りもしない下遠の肩を親しげに叩いた。
「そんなの直接本人に言えばいいじゃん」
至極最もな事を言ってみる。
「それがね、なかなか隙が無くて」
下遠の話だと、佐久間はスポーツマンで休みの日にはあっちこっちトレーニングに出向いて寮には殆どいないらしく、また下遠はスポーツがそれほど得意では無いので…トレーニングの邪魔はしたくない、と。
「面倒だな」
ボソッと呟くと東儀が俺の方を向いて真剣に言った。
「少しでいいから力になってあげたい」
そうだな。
お前はそーゆー奴だよ。
「でも、何で俺?」
「都丸が一番佐久間と仲良しだから」
二人が口を揃えて言った。
…マジか…。
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