「だろうね」 口を開いたのは佐久間だった。 「他の男と喋ってると露骨に嫌な顔するからすぐに分かったよ」 「そんなに顔に出てるのか？」 「すっごく」 …そうじゃないかな、とは思ってた。 思ってたけど改めて言われると…予想外に堪える。 「何だ自覚あんじゃん」 「え？」 「嫌な顔してる、とはいったけど、誰が、とは言ってない」 嵌められた。 奥歯を噛んで自分の浅はかな言動を反省。 「普段スカしてんだからその方がいいぜ」 勝ち誇ったように笑う佐久間。 何だよ、お前だっていつもよりそっちの方がいい。 「都丸、今日は下遠の事で呼んでるんだから」 一心がすかさず俺をフォローする。 …いいの？こんな俺で？ 「そう、でね、今日は佐久間くんとお友達になりたい下遠くんを連れてきました！はい！」 「し…下遠です。好きです、付き合って下さい！」 「?!」 「?!」 下遠の突然過ぎる告白に俺と一心は驚いたが…奴は、佐久間の表情から笑顔は消えていた。 「…何で…」 「え？」 「何でよく知りもしない奴に、そんな事言えんだよ」 佐久間…怒ってる？ 「俺はよく知りもしない奴の事、好きになったりしない。だからお前とは付き合えな…」 「じゃあ、よく知ってもらえば俺にもチャンスあるって事ですよね！」 「…え…」 佐久間が若干動揺している。 想定外の攻撃に齢タイプ？ 「そうだよ。嫌いじゃないならお互いよく知っていけばいいじゃない」 一心がイキイキとして二人の手を取りそのまま強制的に握手させた。