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第71話

「誠司、たこ焼き食べる?ほら」 対角線の彼方から一心がほかほかと湯気の立つ球体を差し出す。 「あ〜ん…んぐっ…ハフッ…んまいな」 「今は冷凍物でも美味しいよね。熱ッ…」 俺と同じく口をパクパクさせてたこ焼きを頬張る一心…。 たこ焼きごときが一心をあんなに幸せそうな表情をさせるのかよ。 「顔、怖ぇーよ」 「ホントだ」 下遠にまで気づかれたじゃないか。 佐久間がオレを横目で睨む。 睨んでんのか、呆れてんのか? 「俺の事よりさ、下遠は佐久間のどこがいいの?」 今日の主役は俺達じゃない。 「僕も知りたい!」 「…え!…と…その…」 下遠は急に顔を赤くして視線を下に落とす。 乙女か! 「佐久間は…歩く姿が颯爽としてカッコ良くて…顔はもちろん…凄く綺麗だろ?それからいつも一人なんだけどそれも絵になるっていうか…だからといって冷たい訳でもなく、話し掛けられたら丁寧に応えてるし…ふとした時に見せる笑顔も控えめで好感…って!これ何の罰?」 「うわ…引くほどだね…」 「愛されてるな、佐久間…」 隣に座っている佐久間に視線を向けると、顔を赤くさせて歯を食い縛っていた。 「何だよ顔真っ赤じゃん」 普段のクールな印象とは全然違う。 「下遠くんは佐久間くんの事大好きなんだね」 一心がダメ押しのようにそう言うと佐久間はガタンと椅子を鳴らして立ち上がった。 「俺、帰る」 「え?」 連られて立ち上がる下遠。 財布から二千円取り出しテーブルに放ると、佐久間は早足で店の出口に向かった。 「待って…」 すぐに下遠がその後を追い店の外へ。 「大丈夫かな…?」 「なるようになんだろ」 盛り上がり過ぎた感はあったが、これでダメなら早いうちに諦めた方がいい。 俺はその位軽く考えていた。

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