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第83話
「んっ…あッ…いい…そこ…」
京乃の声が大きくなっていく。
「あぁ!もうダメ…」
もつれあって落ちていく。
「あ〜…」
「負けたな」
格闘ゲームやるなんて…聞いてない。
「Eスポーツも得意なんだよ」
「リアルのスポーツと文武両道かよ」
「それ意味あってる?違くね?」
はは…と京乃は楽しそうに笑っている。
「紅茶しかないけど、飲む?」
「うん、ありがと」
ポットで湯を沸かし、茶器を用意する手元をじっと見ながら俺は京乃に話しかけた。
「自分でお茶とか淹れんだな」
「ん?フツーだろ?」
「マメだよね。部屋も綺麗だし」
俺と同じ寮の部屋。
間取りは同じはずなのに、見た目の広さが全然違う。
すっきり整ったこの部屋の主は絶対に片付け上手。
「俺の部屋も片して欲しいよ…」
「下遠の部屋、まさか汚部屋?」
眉間にこれでもかと皺を寄せ目を見開く。
うわ、何その嫌そうな顔。
「そんな事ない。そこまでじゃない。ちょっとアレなだけ」
「本当?あ、これから汚部屋を見に行こう」
「え?いやいやいやまた今度…」
「…行きたい…ダメ?」
しゅん、と肩を落とす風で上目で俺を見つめる京乃。
瞬間ドキンと胸が高鳴ってしまった。
「…いい…です」
「さ〜行こうぜ」
ちょっと!さっきと雰囲気が全然違うんですけど?!
半ば引きずられるように部屋を出されてしまった。
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