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第84話
「なんだ、フツーじゃん」
部屋に上がり込んで開口一番、京乃はつまらなそうにそう言った。
「だからそこまでじゃないって言っただろ」
散らかってはいない。
ただ物が多いだけ。
「ん〜八十点って所かな」
セックスより高得点かよ。
勢いよくベッドに飛び乗ってそのままゴロンと転がってる…寛ぎすぎじゃね?
脚をパタパタと動かしたり…ベッドの下を覗いたり…って!
「何してんの!」
ヤバい…そこにはアレが…!
俺の手よりも早く、京乃はそれを取り出した。
「あるある、男だねぇ」
ベッドの下あったのはお約束の箱。
シーツの上で京乃は蓋を開けて中身を取り出した。
「いいローションだな。これは粘度が高くて使用感がいい奴だ。でも、このゴムは薬品臭が好きじゃない。こっちの方がマシ」
ソムリエか?
そんなにお世話になってるの?
「く…詳しいんだ…な」
「あん?これ位はフツーだろ?」
…知らね…。
「新品未開封…て事は俺の為に用意してくれた?」
…ドキッ…!
京乃といたした日、興奮覚めやらぬ俺は夜の薬局で俺なりに吟味してゴムとローションを購入。
来るべき日に備えたのだ。
「うん?ま…まあ…その…」
ゴニョゴニョと言い淀んでいるとグイッと袖を引っ張られて京乃の唇が耳元に。
「試す…?俺の言った事があってるか…」
京乃の息が耳に掛かって俺は自分の中心に熱が籠るのを感じた。
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