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7.戯れの夜
星月が眠るまで雨月が側に寄り添うようになってどれくらいの夜が過ぎただろうか。
寝物語に雨月が話したのは他愛のない事や今まで経験した事、少しだけ癖のある己の喋り方の理由など様々な事を語った。
最初は不安げだった星月も、そんな夜を過ごす内にだんだんと以前のように笑うようになった。雨月がどこかに行かないかべったりくっついたり、固い掌や鍛えられた腕を離す事は無かったが泣く事は無くなった。
そして、その日の星月はいつもと同じくらいの時間にはすぐに寝付かず雨月の手で遊んでいた。
「坊っちゃん、眠くないんですか?」
「うん…今日は…」
いつ星月が寝てもいいように布団の上で座していた雨月は己の膝にしなだれかかっている星月に問う。それまでいつも通りだった星月だが、この日は違った。体を持ち上げて雨月の体にその小さな手を這わせる。澄んだ青色の目は雨月を見上げてくるが、いつも通り撫でてほしいという雰囲気でもない。思わず動いた雨月の手がまだ小さい手に捕まえられて、するりと互いの指が絡められた。
「坊っちゃん?」
「雨月ぃ…あのね、」
なにやら纏わりつくような、どこか蕩 けて甘えるように名を呼ばれて、そこから紡がれた言葉に雨月は目を見開く。
「交合 いたいの」
雨月が思わず星月の顔を注視すると、いつの間にか情欲にまみれた目で見上げてきていた。それはいつぞやに山中の小屋で見た星月の情欲に濡れた顔によく似ている。
雨月は抑止の声を出す暇も無く、布団に引き倒された。
どんなに油断していたとしても、子供の力で雨月が引き倒されるはずがない。何をされたのかと己の上に乗り上げてきた星月を見れば、彼の目が妖しく光っていた。それに合わせて雨月の四肢が微かに痺れている事から、星月が何かの術を使った事が窺える。
星月相手だから、と気を緩めていたせいもある。呪 いに長けているとはいえ、まだ幼い彼の術に嵌まるはずがないという怠慢もあった。
内心で歯噛みした雨月だが、星月は楽しげに笑っただけで術を緩める事はしない。そして四肢の自由も奪われた雨月の服を器用に脱がせていく。すぐに現れた色白の肌、均等に鍛えられた体、慣れない焦りからしっとりと汗が滲んだ肢体は星月を魅了した。
雨月の体に熱い息を漏らした星月は己の中で何かがキュンと音を立てて疼いたように錯覚する。
「すごぉい…」
「坊っ、ちゃん…やめなはれ…」
「ごめんね雨月…やめられない」
「あきまへん…」
「僕のお願い聞いて…?」
「聞けまへんえ!」
語気も荒く必死に訴える雨月に対して星月は少し悲しそうな顔をする。だがすぐに何かを思い付いたのか、その顔は花が綻ぶように無邪気な笑みを浮かべた。
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