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 星月の蕾に男を教えているねやだが、本来ならば彼も男に尻を差し出す方が好きな立場なのだ。乱され、与えられる快楽に尻を振りたい。体の奥を熱い塊で掻き乱されながら欲望を吐き出してもらいたい。  男に抱かれる事を思うと、ねやは途中で星月の尻からまだ固さを失っていない竿を引き抜いた。 「はひゅ、ね、ねや…?」 「星、俺もねぇこうやってお尻を抉られる方が好きなの。だからぁ、一緒に抉り合わない?気持ちいいよぉ?」 「一緒…どうやるの?」 「この張型を使うんだぁ」  ねやはにまにまと笑いながら男性器を模したものを取り出す。それはえげつない程に凹凸を隆々とさせ、誇張表現ではないかと見紛うほどの形をしていた。その上、悪ふざけではないかと言いたくなるほどの大きさの物である。少し疑問に思うのは両端が悪趣味にも、男性器を模している事だろう。  まともな者が見ればいっそ青ざめただろう。しかし、この場にいる星月とねやは欲の熱に浮かされている。まともな判断なぞできるはずがない。その証拠と言わんばかりに、星月の目はねやの持つ模型に釘付けになる。そして細い喉からコクリと唾を飲み込む音がした。  ねやは模型を扇情的に下から上へねっとり舐めながら星月を見る。その視線はこのまま続けてもいいか問うているようにも見えた。 「ねや、ねやぁ…!」 「はいはい。星ちゃん、一緒に使おうねぇ…二人でぐちゃぐちゃになろうか」  星月のねだるような声にねやは舐めていた張型にゆっくりと香油をたらす。そして凶悪な張型の片端を臆面もなく己の尻で飲み込んだ。わずかに律動させながらねやの尻は張型をどんどん飲み込んでいく。ぬちぬちという音をたてながら出し入れするのをねやは楽しんでいるのか分からない。しかし熱く上気した息を吐きながらその動きをしている。星月はそれを見て下半身と腹の奥に甘い(うず)きを感じていた。  やがて、動きを止めたねやはいびつで下品な尾を得る。そしてそのまま星月に横向きに寝て足を開くように命じた。素直にそれに従った星月は尻に無遠慮に侵入してきた質量に驚き、勝手に反応した足はねやを蹴ってしまう。しかし謝るどころではなかった。ねやは自分を蹴ってきた星月の足首を掴んで引き寄せ、張型を互いの腹に深く深く差し込む。腹の奥の今まで誰も到達した事が無いような場所まで入り込んできた衝撃に、星月の目の前には星が散った。 「はぁん…奥まで(はい)ったねぇ?動くよぉ」 「ぁ、ひ…ひぃ…ぃああ…!」  びくびくと痙攣する星月が一息挟む間もなく、ねやは動く。いつの間にかねやの両手は星月の両手首を握って、背中合わせになるように上半身を引き上げられた。  そしてねやは互いの尻をぶつけ合うように後ろ向きのまま腰を振る。 「ああん!いいッ!いい、よぉ…!あん、あっあぁ!ほしぃ、あっ、サイコー、だょぉ!あん!」 「あっ、あっ、あッ…んああ!あぁ、ッあん!ぁ!」  ゴリゴリと腹の奥を擦られ、星月は小さく赤い舌を出したまま喘ぐしかできなかった。口からは涎を垂らし、下半身は何の液体か分からないものでくらいぐちょぐちょに濡れている。この場には、甘く響く二人の喘ぎ声と粘液が奏でる淫らな音だけが木霊していた。  そして、えげつない形の凶悪な張型は星月の理性をうち壊すまでにさして時間はかからなかった。  涎や涙で濡れた顔もそのままに、尻を突き上げた姿勢で放心している星月の尻の蕾だった場所ははぽっかりと花開いている。花の中は桃色で、ねっとりとした透明の蜜を垂らしながら何かを求めるようにひくりひくりと動いていた。  星月の開いた花を濡らす蜜は香油だったのか、星月やねやの体液だったのかわからない。しかし滴る蜜が花やその周りをぬらぬらと光るその様は、ここに別の男がいればその股間を膨らませるには十分な光景だっただろう。  その日から星月の目に色欲の色が滲むようになった。普段はその色を隠すようにしているが、ねやと出会った山小屋へ行くと自ら足を広げて蕾を晒す。  ねやが不在ならば彼が集めている張型で勝手に遊んでいいとねやは言った。その言葉の通り、星月は一人でも淫靡な遊びをするようになった。  星月が一人でも張型に股がり、女のように腰を振る事ができるようになった頃にねやは提案をする。自分に欲望を突き立てた相手が離れられないような穴にする気はないか、と。その時のねやの顔にはいつも通りにんまりとした笑みと少しだけ期待する色が滲んでいた。

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