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第4話*雨の対価*
連れていかれた寄り合い所には何人かの男衆がいた。
もちろん若い人なんていない。なんか重い空気を感じる。
口を開いたのは作造さんだった。
「トキワ。今、雨が降っていないことはわかるな?」
俺は頷いた。そしてまた作造さんは口をつぐんでしまった。
隣に座っていた白髪のヨシさんがそのあとを続けた。
「実はこの山には、お狐様がおっての雨を司っておるのじゃ」
「へえ・・」
「ただ、その雨には対価が必要なんじゃよ」
『対価?』
『頭の中がグルグル回りだした。泣き叫ぶ母親。一人もいない男衆』
「ま・・さか・・」
「ワシらは狐の贄嫁と呼んでおる」
見渡すとヨシさん以外は俺を見ないで口を堅く閉ざしたままだ。
「トキワ・・お前がまだ生まれる前、それこそ雨が降らず飢饉になった。その時作造と一緒に狐様の使用人にお願いに行ったのだ。数日後来た返事は、二人ご所望だと・・」
「酷い条件だったがワシらは二人を差し出した。本当に体力のないものが命を落とすほど食べ物がなかったんだ・・」
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