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第5話*一歩通行の花嫁*
「ヨシさん。その贄嫁って昔からあるの?」
「恐らくな。ここに皆で集落を作り始めたころから使いがやってきた」
「今までに帰ってきた人っている?」
今度はヨシさんも作造さんも口を噤んだ。
『捨てちゃえよ。そんな雨が降らない土地。母さんがあれだけ取り乱す訳が分かった』
『俺、子供だけど代わりになる子いないもんな。』
『要するに狐に喰われてくれって事か・・』
『大人の中ではもう決定しているんだろう、きっと首を縦にしないと返してもらえないんだろうな。きっと』
トキワは大人達の顔を見渡した。
『さよならみんな。優しくて、それで心に鬼を持っている人達』
「作造さん」
「お、おう何だ」
「うちまだ弟と妹が小さいでしょ?俺がいなくなって母さん一人じゃ体壊す。せめて弟が畑に出られるまでみんなで助けてあげてくれないかなあ」
「ああ、わかった。お前のお母さんたちは必ず皆で守るから!」
・・大きく息を吸って俺は首を縦に振る。
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