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第8話*花嫁行列*

わずかな灯かりを頼りに皆静かに進む。山の右側にまわり、小道の階段を上がる。 『こんなところに道があるなんて知らなかった。そういえば 小さい頃から山には近づくなって言われてたもんなあ・・』 しばらく歩くと灯かりが見えてきた。 「家?違う。すごいお屋敷だ。すごく大きい」 歩みを進めて行くと屋敷の入り口に使用人らしき人が立っていた。 『母さんと同じくらいの人かなあ』 「さあトキワ行くぞ」 そう言われて俺は慌てて頭を下げる。 「夜分に失礼いたします。輿入れする花嫁を連れてまいりました」 「お入りください」  冷たく、言葉に何の抑揚もない使用人が言った。ここでさらに人数をしぼられ、作造さんたちと五人になった。残りは屋敷の外だ。 『ずいぶん長い廊下だな』 「トキワ足元に気を付けろ」  ずっと下を向いて歩いている俺の手を取ってくれているのは作造さんだ。 そして大きな広間に通されて、皆で静かに上座に向かい頭を下げる。

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