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第10話*かりそめの花嫁*
「着物を脱げ」
「え?」
「俺は二度言わん」
薄笑いの声で言われた。
俺は慌てて着物を脱ぎ始めた。
だけど着物なんて高価な物、持っていないし、
着付けも作造さん達が皆でやってくれたので脱ぎ方がわからない。
もたもたずらしていくのに精いっぱいで脱ぐことなんてできない。
「ふっふっふっ・・シマ、着物を脱がせろ」
「はいお館様」
さっき玄関にいたひとだ。変わった服を着ている人。
白い付け襟、袖、エプロンを黒のワンピースで身をくるんだ、その姿はトキワには洋装であることも知る由もない。
そしてシマはスルスルと帯をほどき着物を脱がしていった。
「あ、あの」
トキワの言葉に反応するでもなくすべてを脱がし、
トキワは全裸になった。
そして綿帽子をとられ、
初めて一夜限りの夫になろうであろう相手の顔を見た。
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