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第11話*俺の体*
『き・・つね・・?』
『体は作造さん達よりすごく大きいし、多分あの後ろに見えるのが尻尾なんだろうけど、白い。とにかく体が真っ白い。
そして狗のような狐顔だと思ったのに、耳は上向きに生えているけど、目じりの赤い隈取以外はそんなに人と変わらない?』
「こっちへ来い」
ビクっとトキワが固まる。
「二度は言わぬ」
慌ててトキワは全裸のままおずおずと狐の前に立った。
そのまま狐はガッとトキワの腕をつかみ引き上げた。
「いっ痛い・・」
「はははっ。見ろシマ。この骨だらけの体。掘りおこしてきたような芋のような薄汚れた姿。これのどこが食せる。魔羅すら木の実のようだ」
「キヨを呼べ。こいつの泥を頭から落とせ。その間にシマは夕餉を用意しろ」
シマは頭を深々と下げると誰かを呼びに行った。
「はいはい。ただいまー」
威勢のいい声が聞こえてきた。狐は俺を離しシマという人のもとへやった。廊下に一人の中年の女性がいる。
「ほら。ぐずぐずしないでついてきな」
威勢のいい声で俺をどこかに連れていく。
『そういえば、この人広間には入ってこなかった。
何か決まりがあるのかな?』
そう思いながら連れていかれたのは風呂場だった。
「本当に埃っぽいねー。ちゃんと風呂には入っていたのかい?」
「あ・・風呂ってない家の方が多くて、俺とかはだいたい川で流す程度で・・」
「まー。あきれたね、こりゃ洗うのは一回じゃすまないね!」
そう言われて俺は皮がむけるんじゃないかと思うくらい、体を洗われた。
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