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第14話*口吸い* 

寝所はとにかく色とりどりの布で飾られていた。 天蓋というやつも、ついていたらしい。 俺を寝所に寝かせた狐は俺の唇に自分の唇を合わせた。 『口から喰われるのか?』  俺はぐっと歯を食いしばった。くっくっくっ。と狐が笑う。 「お前は口吸いも知らんか。口を開けろ」  言われた通り口を大きく開けた。何かまた笑い声が聞こえたような気が・・。 「うっ」 『口の中に何か入ってきた。生暖かい。何?何?』 『んっ、俺の舌が巻き取られている!舌から喰っていくのか?』  体がこわばって涙が止まらない。 ・・これで終わるんだ。 「くっくっくっ、泣きやめ。とって喰いやせん。体の力を抜け、そして腕を俺の首に回せ。そしてもう一度口を開けろ」 涙のあとは消えないけれど、言われた通りに恐る恐る首に手を回す。 「明日、骨になったりはせぬ。童っぱ、そんなに気を張るな」  すると狐はおれの髪に触りながらまた口の中に舌を入れてきた。 「・・ん・・・ふっ・・・う・・」  そしてまぶたが重くなっていく。

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