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第29話*帰ってきた日常*

また奇妙な日常が戻ってきた。 キヨに体を洗ってもらい、シマから輝くような着物を渡され広間で食事をとる。以前寝込んでいたあの部屋でいいと言ったらやはりダメだと言われた。 狐と会わないように寝所も変えた。怖い思いをしなくなったのでトキワはずいぶん気分が楽になった。 でも時々思い出す。あの広い寝所で狐は毎晩一人で寝ているのか・・。 「シマさん。お館様ってほとんど食事しないんですよね?」 「はい。そうです」  翌日俺はシマさんに疑問をぶつけてみた。 「夕餉の頃なにをしているの」 「お部屋におひとりなのでわかりかねます」  出た。シマ節。 「ですが毎日お清めしたお酒をお持ちしています。ここしばらくは量が増えているようですが」 『毎晩一人でお酒・・って何考えているんだよ俺。 喰われそうになったじゃん。すごく痛くて怖い思いしたじゃん。お館には住まわしてもらっているけど、寝所も変えて顔を合わせない日もたくさんあるじゃないか。でもお館様って多分俺の目気に入ってるよね。前もそうだったけど、たまにお屋敷内で会ったときは必ず俺の目を見る・・』 「・・シマさん。あのさ」

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