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第36話*人の子の体*
『うーん。今日も眠くなってきた』
「それでは今夜はお暇させていただきます」
「うむ」
トキワが顔を少し上げた。
『何だろう。目がお酒をたしなんでいる時と少し違う』
『あっ、シマ!』
「あ、あの、お館様」
「どうしたトキワ」
「最近早くお暇するのは実は眠くて。シマさんに言ったら季節の変わり目は人は体調を
崩しやすいって。あともう少ししたら落ち着くって・・」
「そうか・・」
『あ、目が変わった・・』
「それなら早く休め。俺に合わせて体を壊されたら、俺が苦しい。ここにくるのも体調の良い時だけでいいぞ」
「あ、はい」
「ときにトキワ条件がある」
「え・・」
『やだな、また何かされるのかな』
「お前が一日あったことで一つ何かを話してはくれないか。
いつも俺の話ばかりで普段お前がどう過ごしているか知りたい」
「え、え、今日あったこと?あ、あの今日のお風呂。キヨさんが
湯張りを間違えて少し熱かったです」
「はっはっはっ。キヨの奴、そんなことをしでかしたか」
「あの・・」
「トキワ、それで十分だ。お前のその小さな日常が知りたい。さあ、体に障る。早く休め」
優しく諭されトキワは寝所を後にした。
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