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第38話*見張り*
『やっぱり俺は大事にされているのかな』
「ではそろそろお先に失礼します」
「うむ」
「えと、呑みすぎないように今夜は俺が見張ります」
「何?」
そう言うとトキワは打掛をするりと落とし薄い寝巻姿で寝所の端っこの布団に入る。
「お館様、約束忘れないでくださいね。俺は見張りですから」
「ふっ。わかったトキワ。俺が呑みすぎないように見張っていてくれ」
そうはいったがしばらくすると小さな寝息が聞こえてきた。
狐はそっと布団をのぞき込む。
「このような愛らしい寝顔を見ては逆に酒が進むぞトキワ」
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