39 / 95
第39話*願い*
「う、うーん。もう朝かなあ・・」
「朝ですぞ。花嫁殿」
その声を聞いてハッと飛び起きた。
「お、お館様」
見るとトキワはいつの間にか布団の真ん中で目を覚ましていた。
「見張り殿はずいぶん大きな寝返りをうつな。安心しろ、約束は守った」
『着物も乱れていないし、噛まれたりしてない。約束は守ってくれたんだ・・あ』
「も、申し訳ありません。すぐに戻ります」
慌てて布団から出ようとしたら、つま先にかかり着物がずれ、左足が太ももまであらわになった。
「トキワ。俺の理性を試しているのか?」
「も、申し訳ございません」
慌てて着物を直す。
「時にトキワ。昨夜はちゃんと見張りができたかな?」
「えっ、あ、その」
「では罰を与えてよいか」
『え、やだ、怖い。やっぱりご寝所に行かなければよかった』
トキワがうろたえていると
「俺を抱きしめてくれ」
『え?』
胡坐をかいて手を膝の上に乗せている。
「俺は動かん。お前の気持ちでいい。嫌なら指を触るだけでもいい。お前のぬくもりが欲しい」
ともだちにシェアしよう!