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第50話*すみれ、頭上がらず*
お館様はああ言っていたけど、結局シマさんが来て着付けの手伝いをしてくれた。
「こちらをどうぞ」
『へー、今日の着物ずいぶん色が濃い紺色?』
「紺桔梗でございます」
『え?俺、声出してないよね?え、本当にシマさんて何者?時々お館様より怖いよ』
支度が終わり狐の所に向かう。正面に腰を落とし、両手をつき、深々と頭を下げる。
「すみれ。言っただろう、お前は俺に頭を下げる必要はないと」
「も、申し訳ございません。つい・・」
「それよりお館様。俺はこの不確かな記憶の間、なにか失礼な事はしなかったでしょうか?」
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