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第51話*目に入れても*
「安心しろ。お前が案ずるようなことは一つもない」
「俺の胡坐の中で毎日薬湯を飲んでいたり」
「え」
「いつも俺の着物を離さず、常に一緒の行動をしていたり」
「え」
「寝所では俺に抱きつかないと眠れなかったり」
「え」
「やたら口吸いをねだったり」
「え」
「お・・お館様。大変ご迷惑をおかけしました。お詫びの言葉も出てまいりません」
「安心しろ、すみれ。口吸いなぞしてはいないぞ」
「え・・」
「お前の記憶が無い状態など、だましているようだからな。意識が戻るまでひたすら耐えたぞ」
「甘えるすみれは、目に入れても痛くないな」
したり顔の狐の顔を見れず、深々と頭を下げて上げることが出来ない。
『すごく嫌な予感・・』
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