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第61話*けだるい朝*
「ん・・とり?」
すみれが布団の中から目を細める。
「あ、朝」
慌てて起きようとしたが
「あれ?体が少しだるい・・お布団の中気持ちいい」
「目が覚めたか、すみれ」
「あ、お館様。なんか体が」
「どうした、体調を崩したか」
「いえ、なんだか気だるくて、お布団が気持ちいいです」
ふっと笑って軽く唇を合わせ、
「そうか、体が気だるいか。少し無理をさせてしまったかな」
「・・あ」
すみれはまっ赤になって布団にもぐり込む。
「どうした花嫁殿。愛らしい顔を見せておくれ」
「昨夜は、た、大変お見苦しいところを」
「何を言う。俺の望んだお前の愛らしい姿だ。なんと幸せだったことか」
「まだ起きなくてよい。果実水でゆっくり喉を潤せ」
優しく狐はすみれの額に唇を寄せる。
言われた通りすみれは布団の中でまどろんでいた。
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