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第62話*人の形*

うーん。何か結局、今日はぼーっとして過ごしちゃったな。体がだるくて。でも何かくすぶっている感じ。 『それに昨日は・・昨日は・・』 すみれは顔がまっ赤になった。お館様の口吸いが、すごく熱かった。 体の奥から熱くなるような。今日一緒に寝るのちょっと緊張するなあ。 やっぱりご一緒の布団かなあ。 「失礼いたします」 「入れ」  すっと襖を開けてすみれが入ってくる。いつも通り狐のそばに座る。 『なんか変な意識しているの俺だけかなあ。お館様はいつも通り・・』 「お館様?」 「何だ」  盃片手に狐が答える。 「今日いつもよりお体小さくありませんか?」  よく見ると狐が心なしか小柄になっている。小柄といっても人の大人くらいの体格ではあるが。 「すみれは知らなくてよいことだ」  少し考えるように狐は盃を空ける。 『なんか今夜のお館様は少しご機嫌が悪い?』 『寝るのに俺が邪魔になってきたのかな?』   その姿で数日間、二人は過ごした。

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