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第69話*シマ激おこ*②
「いま花嫁様にお館様の事を聞くと、多分好きと答えるでしょう」
『それも昨夜聞いた』
「でもそれは煮物の中の芋が好きかと、問うているのと同じです」
「どういうことだ」
「見ての通り花嫁様はまだ子どもです。世が世なら元服を済ませたばかりです」
「男子は元服を済ませると、そこから大人になるために愛情や性の知識を大人から学んでゆきます。ですから花嫁様は、今そのようなことを私共から学ぶ時期なのです」
『そうなのか・・』
「ですから今は語彙力がなく、うまく伝わらなかったり、伝え方がよくわからないことを指導しなければいけません」
「また、お体も成長していきます。変調を細かく見守り、身の振るまい方などもご指導しなければ」
「そうだったのか。人の子とはそういうものなのか・・」
「ですからお館様が事を急いてはよろしくないと思いまして」
『むむむ・・』
「あとでキヨに湯あみをさせればわかるかと思いますし」
『しまった。すみれの体には昨夜、俺が付けた跡が』
「そ、そうかシマも色々考えてくれているのだな」
「お館様。お話は相手の目を見て申した方がよいかと」
「それでは時々、花嫁様をお預かりいたします。お館様にまかせるとまずお酒の味を覚えてしまいそうですので」
「う、うむわかった。すみれを頼む」
「お館様。くれぐれも事を急いてはよろしくないと。では失礼いたします」
去っていくシマの姿を見ながら、シマは人間か?この天狐の俺に対して上からものをずけずけと。
む、言い返せなかったがな。
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