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第71話*黒い来訪者*

「あ、鳥」  すみれは窓の外を見ながら鳥に目をやっていた。 「・・とり?」  その鳥の影はどんどん大きくなり、屋敷にまっすぐ向かってきていた。 「人?」  人の形をしたような大きな鳥がどんどんこちらに向かってくる。 恐怖ですみれは柱の陰に隠れた。ガラガラガラッ。勢いよく扉が開く。 「シマさーん、いるー?」  黒い大きな翼を持つ、真っ黒い姿の男が入ってきた。 「灰羽様、そのような大声を出さずとも」  シマが現れてその男の対応をする。 「ん?」  何か違う匂いの気配に気づき、奥をのぞき込むとすみれがいた。 「え、人間?シマさん今日の飯?」 「それを申せば本日の夕餉はやきとりになりますかと」  会話が耳に入ったすみれは、くるりと向きを変え奥に走っていく。 「天我。てんが-」  「あ、名前よばせてんの?」 「あの方はお館様の花嫁様でございます」 「え、花嫁」 「灰羽!」 「よう天我」  挨拶と同時に拳が来た。 「いてえっ」 「灰羽!貴様すみれを怯えさせただろう」 「すみれ?ああ、さっきの花嫁様ってやつ?だってまさか天我が人間をさ-」  ガツッ 「いてえよ」 「理由など聞かん。すみれを怯えさせるな」 「は-。花嫁様溺愛なのね」

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