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第1話②

「あ、気が付いた?実は今日、淳にちょっとしたサプライズがあるんだ。」 俺が異変に気が付くと、すかさずカズさんが返答してくれた。 「サプライズって?」 「それは後からのお楽しみ。もうすぐ分かると思うよ。」 言い逃げをするかの様にカズさんはそのまま食器の片付けを始めてしまい、詳しく教えてくれなかった。 「??」 新しいスタッフでも来るのだろうか? カズさんの言ってた知人が戻ってくるとか? もやもやしながら少し温くなったカフェラテを飲んでいると、入り口から来訪者を告げる音が鳴った。 「お、来たか。」 カズさんが慣れた様子で声をかける。 お客さんかな?と思いながら何気なくドアの方を振り返ると… … ……… めちゃくちゃのイケメンがいた。 それはもう、俳優並に顔が整っていてスタイルもモデル顔負けだ。 話に夢中になっていた女性客もちらちらとイケメンを見ている。 「淳、今日のサプライズは彼だよ。」 「えっ、カズさんの知り合い?」 なんと、このイケメンさんはカズさんの知り合いだったらしい。 相変わらず顔が広い。 「城崎彼方。今日からこの店に来てもらうことになったんだ。淳より少し歳は上かな?」 「初めまして。」 イケメンもとい城崎さんは、パーフェクトな爽やか笑顔で挨拶をしてくれた。 「…あっ!は、初めまして!山本淳です。ここのお店でカズさんにいつもお世話になってます。」 イケメンオーラに思わず反応が遅れてしまった。 声までイケメンってもう異次元だな。 「アルバイトの方ですか?」 以前から、アルバイトの人は2人いるし、そこまで人手が足りていないという感じでもなかったけど…疑問に思い尋ねる。 「まぁ、そんなところかな。カっさん、いつやればいいの?」 城崎さんは、カズさんをカっさんと呼ぶのか。 うちの姉ちゃんと同じだな。 というか、"やる"って何を? そのサプライズってやつ? 「来てもらったばかりで悪いけど、早速お願いしていいかな。」 「了解。」 何も分かっていない俺をよそに2人の間で話はすすみ、城崎さんはそのまま店内の奥へと進んでいく。 一体何が始まるんだ…? 恥ずかしそうに頬を染める女性客の横を通り過ぎ、ここのシンボルである(俺の中では)ピアノの前に座る。 ーポーンー それは、俺がこのお店に通い始めてから初めて聴く音だった。 何の曲を奏でるでもなくただ一音鳴らしただけだったが、俺にはピアノが久し振りに鳴らしてもらえて喜んでいるように聞こえた。 何年も使われていなかったが、ちゃんと調律はされているようで耳にとても心地よい。 ここからは城崎さんの後ろ姿しか見えないが、静かに姿勢を整え、鍵盤に両手を置く様子は緊張感があり時間が止まったかのように見とれてしまった。 張り詰めていた空気が一瞬変わったかと思うと、川の水のように音が次々と流れ込んでくる。 俺は音楽に詳しくないし、今流れている曲も知らないが音色は優しく、心と身体が丸ごと音に包み込まれているような感じがした。 だけど、どこか不安定で寂しい。

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