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第2話②
「カァズさぁ~んー。」
「俺は某アニメの猫型ロボットじゃないぞー。」
こんな時は、とりあえずカズさんの元に泣きついてみる。
勉強する宣言しときながらなんで寄り道してるんだとつっこまれそうだが、カズさんは心の癒しなんです。
言い訳にしかならないけどね。
「どうしよー俺追試だよー留年しちゃうよー。」
「ははっ。お前は大げさだなー。
ていうか泣きつきにくる暇があったらお家でさっさとお勉強しなサイ。」
「ゔっ」
でました。言葉の刃。
ものすごい笑顔なんだけど、逆にその顔でビシッといわれると、余計に色々とダメージが。
「デッデモ、カズサン、ボク、コンカイノスウガクガ、マッタクワカラナインデス。」
「こんなちっこい喫茶店にいても公式は覚えらんないぞー。教科書読みなさい。」
「くぅっ」
ぐさぐさと立て続けに痛いところを突かれ何も言えなくなる。
あなたの言葉はたまに、うちの親よりも効果が大きいです。
こ、心の癒しが…
カズさんは、基本的に優しいけれど、勉強面に関しては厳しい。
とりあえず泣きついてみましたが、やっぱり駄目だったよ。人生甘くない。
…仕方ない。帰るとするか。
残り僅かとなった紅茶をぐいっと飲み干す。
心の拠り所であるカズさんにいわれてしまったら、もうこれは家に帰って勉強するしかない。
「でっでは…カズさん…僕、帰りマスコット…。」
「…おー。大丈夫かー?語尾おかしいぞ。とりあえず、がんばれよ。」
「ははっ…だぁいじょうぶですヨン。がんばりますヨン。」
ゆらゆらしながらドアの方へと向かう。
確かに、教科書を開かなければ何も始まらない。
1週間教科書と問題集をやりこめば、きっと何とかなる。
情けない自分に心の中でそう言い聞かせて、ドアノブに手を伸ばす。
ーカランカランー
「……。」 「…あ。」
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