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第4話①

8月後半に入り、夏休みもあと残り僅かとなった。 初めてのアルバイト代が入るのが楽しみな反面、溜まりに溜まった宿題に悲鳴をあげる日々を過ごしている。 「はぁ…宿題…終わらない…」 「最初からしないからでしょ。自業自得。」 「淳は毎年溜めてるなぁ〜」 今日は、業務後に客として店でお茶をしている。 注文したチョコレートパフェを口に運びながら愚痴をこぼす。 ちなみに城崎さんはイチゴパフェだ。 夏休みってどうしてあんなに宿題があるんだろう。 そしてどうして俺は毎年溜め込むんだ。 先月の呑気な俺をしばきたい。 「城崎さんは、溜め込んだことないんですか?」 意味のない質問と分かっていながらもついつい聞いてしまう。 「向こうでは宿題でなかったから。」 そうきたか。 なんと羨ましい。 俺も海外で暮らしたかったな、なんて。 「まぁ、日本にいたとしても多分溜め込まないけどね。」 「うっ、そうですヨネ。」 ご都合主義な考えをする俺を悟ったのか、城崎さんが刺々しい言葉を放つ。 城崎さん、要領良さそうだもんな。 夏休み初日からコツコツと宿題をこなす城崎さんが容易に想像できる。 「淳はさっさと食べて帰りなよ。」 「うっ、まだ…大丈夫ですよ…」 城崎さんは、俺を追い払うようにしっしと手を振ってくる。ほんと扱いひどい。 まぁ、こうして後回しにするから終わらないんだけどね。 ていうか俺のパフェ食べてるし。 チョコアイスを食べたスプーンを使うから俺のパフェが茶色くなってる。いや、いいんだけどさ。 「…?あー、はい。」 城崎さんの方を見つめていると、口に入れようとしていたスプーンを俺へ向けてくる。 「…それは、もういいです…」 前にも見た光景だ。 海外では男同士で食べさせ合うの当然なの? 城崎さんからのあーんをお断りして、自分のスプーンで一口掬い味見させてもらう。 最近分かってきたこと。 それは城崎さんの距離感が近いということ。 親しくなってくる程それを感じるようになった。 心を許してくれているのかな、と思うと嫌な気はしないが、なんだかそわそわと落ち着かない気持ちになる。 祐介も割と肩を組んできたりとスキンシップの多いタイプだが、特に気にしたことはなかった。 城崎さんが美形だからなのか? 我ながら乙女チックな自分に恥ずかしくなる。 あーやめやめ。 これ以上考えすぎないよう食べることに集中する。 パフェを食べ終え、帰る前にお手洗いへ行っておこうと席を立つ。 16時か。 宿題、あと何が残ってたっけ。 帰って真面目に宿題しないとな… 「淳!!」 家に帰ってからのことを考えながら歩いていると、急に名前を呼ばれる。 聞き慣れた声。 振り返ると、入り口に予想通りの人物がいた。 彼女はニッコリ笑うと、キャリーケースを持ち店内へと進む。 「姉ちゃん!?」 「ただいま!」 俺の姉ちゃん、美弥子が日本に帰って来ました。

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