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お花見 10

「ナオナオ帰っちゃったのね。本当に残念よ。」 直さんは、田中兼の事で色々と処理をする必要があるからと迎えの車が来たら帰ってしまった。 「なおちゃん、来ないの?」 「うん。ご用が出来たから帰っちゃったんだ。」 大輝は直さんと遊べると楽しみにしていた。 僕の事で動いて下さっているのに無理に引き止めるとか出来なかった。 「イヴイヴ、この子が大ちゃん?」 「うん。こちらは高橋真さんだよ。ご挨拶して大輝。」 大輝に挨拶をする様に言うと蒼大の後ろに隠れながら恐る恐る真さんを見ている。 見ためが怖いかもしれない。 「大ちゃん、初めまして私は高橋真よ。仲良くしてね。」 真さんはそう言って大輝の目の前に手を差し出して握手をしようとしていた。 大輝も恐くないと思ったのかゆっくりと真さんの手を握ってぎごちなく笑った。 「可愛いわぁ〜。大ちゃんをギュッてしたいわ。」 「ギュッ?」 「うん。ギュッって抱きしめたいってことよ。」 「僕がギュッした。」 大輝は真さんの人柄が分かったのか自分から真さんにギュッと抱きついている。 一度恐くなくなってしまえば大輝は火が付いたように真さんにまとわりついていた。 真さんも嬉しそうに大輝と話をしている。

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