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さぁ、いくわよ
僕がドレスの細かい所を見ていると桃さんが僕の腕を掴んだ。
「さぁ、いくわよ。心の準備してね。」
「えっ?心の準備ですか?」
「そうよ。じゃあ、お迎えが待ってるからドアを開けてもらうわね。」
桃さんが携帯で誰かに連絡を取るとドアの鍵がガチャリと音を立てて開けられた。
「入るんですか?」
「うん。僕は用事があるからお願いするよ。」
ドアの外で蒼大と直さんの話し声が聞こえてきたかと思うとドアがゆっくりと開いていった。
ドアが開ききると蒼大はその場に立って僕を暫く見ていた。
やっぱり変?
僕は居た堪れない気持ちになり下を向いてドレスのスカートをギュッと握りしめた。
「聖輝?」
「うん。」
僕は蒼大の方が見れなくて下を向いたまま返事をした。
僕を気づいてくれたけれど蒼大は何も言ってくれないし近寄ってきてもくれない。
やっぱり気持ち悪かったんだ。
男なのにウェディングドレスなんて笑っちゃうよね。
笑うより呆れちゃったかな蒼大。
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