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撮影会

僕を膝の上に座らせたまま腰に腕を回されて身動きが取れないから僕は蒼大に抗議をした。 「恥ずかいから離してよ。」 「観念して座ってろよ。皆んなが撮影しに来たから笑えよ聖輝。」 蒼大はそう言って僕の頬に軽くキスをしてみんなの方を向きニッコリと笑った。 「聖輝君も笑ってよ。」 直さんにそう言われたら覚悟を決めて笑うしかないよね。 僕は僕なりに笑う努力をしたがどうしても上手く笑えずに顔が強張ってしまう。 「いぶき!」 人を掻き分けて咲君が勢いよく走って僕と蒼大のそばにやって来た。 「咲君。僕だと分かるの?」 「うん。キレイだね。」 「ありがとう。」 咲君を見ているだけで顔が綻びて自然と笑顔になってしまっていた。 そんな僕を皆んなは見逃す訳がなくて撮影会並みにシャッター音が鳴り響いていた。

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