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起きようか

「おいで咲君。聖輝兄はもうすぐしたら起きてくるから僕と朝ご飯作るのお手伝いしよう。」 「だいき!」 「咲のその笑顔が悲しいよ。」 「よし!抱っこするからあっちに行こうね。」 「だいき!だっこ!」 僕は蒼大の腕の中でドアの外の会話を聞いていた。 大輝もあんな時があったんだと思い出して泣きそうになっていたら蒼大が優しく頬に触れた。 「そろそろ、起きようか聖輝。」 「うん。」 「起きたら咲君に聖輝を譲るよ。後数時間だけの我慢だから存分に聖輝に甘えたらいい。」 少しだけ複雑そうな顔をして笑う蒼大。 本当に4歳の子に張り合ってどうするんだとか思うけれどなんだか嬉しい気持ちになる。 僕もかなり重症かもしれない。 それからリビングに行くとやっぱり咲君が僕にベタベタと触れて離れないから蒼大は顔を引きつらせながら笑っていた。

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