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お別れの時

「大輝の恋愛の話も少し聞けたし良い土産になったわ。それに智哉の大切な人にも会えたからな!」 意味ありげに笑いながら大輝を弄る治樹に大輝は顔を真っ赤にしてオロオロとし始めた。 「あまり大輝をイジメるな治樹。」 「イジメてないし悠真。」 悠真に叱られて大人しくなる治樹を見てると高校生の時と変わらず仲が良くて本当に安心する。 「そろそろ時間だ。」 後、10分で新幹線がやって来る。 僕達は、お店を後にして改札口に向かって歩いた。 僕の手を握り何も話さなくなった咲くんが少しだけ気になるけれど僕とバイバイをするのを分かっているような感じだった。 改札口に着くと咲君は僕の手を離して咲君パパさんの腕にギュッとしがみ付いている。 泣いて帰りたくないと言うかも知れないとか思っていたが今は我慢しているように見えた。 本当に良い子だ。 我慢強くて周りが本当に困る我が儘は言わないんだね。 僕は咲君の側にしゃがみ込んで頭を撫でながら笑いかけると目に涙を溜めながら笑い返して来る。 「また智哉とパパさんと一緒に家に遊びにおいでよ。」 「いいの?」 「うん。いつでもおいでね。」 「うん。いぶき大好き!」 僕の首に抱き付いてチュッと咲君に唇を奪われてしまった。 慌てて咲君のパパさんが僕から咲君を離そうとしたけれど離れなくてパパさんは苦笑いをしている。 蒼大はというと・・・見れません。 背後から殺気に似た気配がしています。

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