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蒼大宅

何故かあの後でバレンタインの日に蒼大に家に泊まりに来ないかと誘われてしまっい蒼大の部屋に居る。 「今日さ、家族旅行に行ってていないんだよ。」 なんだこの展開は? 始めて彼女を家に呼んだら家族は旅行でいませんよみたいな感じだよな? 「そっ・・・そうなんだ。」 うん、これしか思いつかない。 それから10分位沈黙が続いてるんだけどね。 僕はいつも蒼大とは言い合いしてたから改めて普通に会話しようとしたら何を話せば良いかわかんないわ。 「これさっ・・・聖輝に渡そうと買ったチョコ。」 ベッドを背もたれにして隣に座っていた蒼大が顔を背けながら目の前に綺麗にラッピングされたチョコを差し出してきた。 「でも、僕は昨日も貰ったよ。」 「良いから、聖輝に渡すために買ったんだから受けとれよ。」 いつもと同じ上から目線で言ってくるけどその横顔は耳まで真っ赤になっていた。 「うん。ありがとう蒼大。食べていい?」 僕は蒼大の顔を覗き込みながら聞いてみるとチラッと目線だけ僕に向けて小さい声で『うん』と言った。 「うわぁ〜。これ凄く美味しいよ。蒼大も食べてみなよ。」 僕は箱から一粒チョコを手に取り蒼大の口元に差し出した。 「お・・・お前・・・・・クソッ。」 僕の方を見る蒼大は真っ赤な顔がもっと真っ赤になり自分の前髪をクシャクシャと乱暴にかいた。 「蒼大?」 「聖輝、それはワザとか?それとも天然かよ。どっちでもいいわ。後悔すんじゃねぇぞ!」 「後悔?」 蒼大の言っている事が分からないと考えていると指ごと蒼大がチョコを口の中に入れた。

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