俺は圭が落ち着くまでベンチに座り話し込んでいた。 「ごめんな、蒼大。大丈夫だからごめん。」 「謝んなよ。圭は悪くないだろ？」 「聖輝・・・その・・上手くいくといいな。」 圭はそう言って笑った。 きっと笑うのはキツイだろうと思う。 俺は強引に聖輝とあんな事をしたから・・・・・でも聖輝の気持ちは俺には向いていないって分かってるんだ。 それでもいつか俺を見てくれるんじゃないかとか好きになってくれるんじゃないかとか期待をしてしまう。 だから、聖輝の優しさにつけ込んであんな事をしてしまった。 「蒼大、帰ろうぜ。」 圭はいつもと変わらず笑って俺の腕を掴んで歩き始めた。 そうだった。 圭はたまに俺の腕を掴んで今と同じ様に『蒼大帰ろうぜ！』と言って嬉しそうに笑っていたのを思い出した。 俺は聖輝だけ見ていたから気づかなかったんだ。 友達と帰るときの圭はいつも俺の隣で笑って話をしていた。 俺と聖輝が言い合いをすると何故か寂しそうな顔をしていたのを思い出していた。 俺が聖輝を見ていた様に圭は俺をずっと見ていたんだな。 俺も聖輝にフラれても友達でいいから側にいたい。 圭もそうなのか？ でもきっと辛いよな・・・ごめん圭。 「あははっ。北嶋先輩、もうやめて下さいよ。」 この声は聖輝？ 公園の入り口の向こう側に北嶋と楽しそうに話しながら聖輝が歩いていた。 聖輝・・・どうして？ 北嶋は聖輝の頭を撫でたり頬を摘んだりしている。 聖輝はイヤそうではなくて顔を赤くして照れ笑いしている様に見えた。 聖輝・・・・・・。