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先輩

「聖輝くん、目が赤いけどもしかして泣いてたの?」 「へっ?」 学校を出て歩道を歩いてると僕の顔を覗き込む様に見てくる北嶋先輩。 覗き込む北嶋先輩と目が合い僕は思わず顔を背けてしまった。 泣いていたのがバレたのも恥ずかしいが間近で綺麗な顔に見つめられたら心臓がうるさくなる。 ドキドキはするけど・・・・・・蒼大とのドキドキとは違う。 やっぱり僕は蒼大を好きになってる。 「暗い顔してる。」 不意に北嶋先輩の手が伸びてきて僕の頬をムニッと摘んだ。 「北嶋先輩?」 「何かあっただろ?言いたくなかったら言わなくて良いけど聖輝君は笑ってる方が可愛いよ。」 「可愛い?僕は男ですよ。」 「うん、わかってるよ。でも可愛いから可愛いって言ったんだよ。気に障ったかな?」 「平気です。」 北嶋先輩は僕を可愛いと言って優しく微笑み頭を撫でてくれる。 これが蒼大なら・・・・・・嬉しいのに蒼大は此処には居ない。 「あれ?いつも一緒に帰ってるお友達だよね?」 「えっ?」 北嶋先輩が指差す方を見ると公園の入り口に蒼大がこっちを見て立っている。 その隣には笑って圭が立っていた。 圭が一緒に居て笑ってるって事は2人は付き合うの? どうしよう・・・・。 やっと止まった涙がまた目に溜まりだしてくる。 「聖輝君?どうしたの?」 「あっ・・・えっと・・・・・すみません。」 僕はその場に居たくなくて駅に向かって走り出した。 走りながら涙が目から溢れ出て止まらなくてけど走るのも止めれなくて景色が涙で歪んで見える。 それでも僕は止まらず走った。 どの道を今走ってるかなんて分からない。 ただひたすら前を向いて走り続けたけど涙で視界が悪いから足元に物が落ちてるのに気付かずにつまづいて派手に転んでしまった。 「つぅ・・・・・。」 僕は地面にうつ伏せのままコンクリートを何度も拳で叩いた。 痛みなんか感じない。 痛みを感じるのは胸だけ・・・・・・。 蒼大・・・・・・。

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