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気になる

大きな蒼大の背中に僕は顔を埋めて泣きそうなのを我慢していた。 「公園に戻るからな聖輝。」 公園に? 圭とか北嶋先輩は? 僕は気付かないうちに蒼大の肩を力を込めて握っていた。 「聖輝、そんなに肩を掴んだら痛いんだけど?」 「ご・・・ごめん。」 「手とか痛くないか?本当にむちゃくちゃ走るから追いつくの大変だったんだからな。」 「ごめん。」 「謝ってばっかりだな・・・・・。」 「ご・・・・。」 また『ごめん』と言いそうになり僕は言葉を飲み込んだ。 それから暫く沈黙が続いたがそれは嫌じゃなかった。 蒼大の背中は暖かくて安心できる。 ずっとこうして蒼大に触れていたいと思った。 「ここなら街灯あるから暗くなっても大丈夫だろ。」 ゆっくりと僕を街灯の側のベンチへと降ろして座らせた。 でも僕は顔を上げることすらできずにただ下を向いて涙が出るのを耐えていた。 「聖輝、少しだけ待っててくれるか?」 どこ行くの? そう聞きたかったが上手く言葉にできなかった。 僕は黙って頷くと蒼大は僕の頭をクシャクシャとして走って何処かへ行ってしまった。 蒼大・・・・・・・。 「ふうっ・・・ヒクッ・・・・・。」 痛いよ・・・。 傷が痛むんじゃなくて胸が苦しいよ。 蒼大は圭と付き合うんじゃないの? なのに、僕になんか優しくしないでよ。 優しくしないでと思う自分もいるが僕を心配して側にいてくれる事を嬉しく思う自分も居た。 僕はどうしたらいいの? やっぱり蒼大にちゃんと圭との事を聞いたほうがいいのかな? でも本当に付き合うとか言われたら僕・・・・・・・。 きっと2人に良かったねなんて笑って言えないよ。

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